訪問看護師さんの
こころとからだの支援・相談
Case

相談事例のご紹介

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    相談内容

    状態が前回と違い、違和感のある訪問

    統合失調症の60代男性Aさん、精神科病院退院後アパートで独居しています。前回退院後から2か月たっています。それまでも入退院を何度も繰り返しています。
    家族とは疎遠。高血圧で内服中です。精神科病院の精神科外来および内科外来から精神科薬と高血圧の薬が処方されています。週1回30分の体調管理と服薬管理を目的に訪問看護を実施し、2か月がたちました。精神科デイケアに週4日通所しています。口数は少なく無表情ですが、いつもは質問には答えてくれています。

    今日訪問にいくと、アパートの部屋の鍵はあいているものの、頭から布団をかぶっていました。名前を呼んで「こんにちはAさん、訪問看護に来ました××です」と問いかけても返事がありません。服薬カレンダーには、5日前からの薬もそのまま残っています。部屋の中は、先週とは違って乱雑で、コップが床に割れていたり、服や雑誌も散らばり、暴れたような形跡がありました。明らかにこれまでの自分が知っているAさんとはちがう状況です。

    「Aさん、調子はいかがでしょうか?具合が悪いですか?」と言いながら、臥床しているAさんに近寄るとぶつぶつと独語を言っていましたが聞き取れません。
    このまま声をかけていても、暴れてしまうのではないかと怖い感じがしました。どのように対応したらいいでしょうか。
    30代 女性
    回答
    「Aさん、お邪魔してもいいですか?」と聞いても返答がなければ、いったんAさんの部屋から離れてもいいと思います。
    デイケアに電話し、昨日までのAさんの様子を確認し、5日分の薬が残っていたこと、部屋中物が散乱していることをデイケアの担当者に報告してください。ステーションの管理者にも、状態がおかしいことを報告しましょう。デイケアスタッフにできれば一緒に訪問するか、様子を見に来てほしいことを依頼しましょう。
    一人で無理に訪問せず、複数訪問の調整(デイケアのスタッフあるいは、ステーションの他のスタッフ)をまずは行いましょう。

    もし、状態をもう少し観察しようと判断する場合は(デイケアスタッフとの訪問の調整がつかない、ステーションでの2名対応ができない、訪問の別日の調整が困難で、様子を見ても、大声で易怒的ではなく、布団をかぶっているままであるなど)、ドアを開けたままにして、閉塞的な状況を避けましょう。数回声をかけて反応を見ましょう。

    ただし、むやみに布団をはぐったり、身体に触らないようにすることです。何回かのこちらの声掛けに反応しない場合は、それ以上一人では関わらず、複数訪問やデイケアスタッフに対応を依頼しましょう。こちらの問いかけに反応し、訪問看護師にもさほど易怒的でなく反応する場合は、調子の確認をして、服薬の促しを行いながらも、無理強いはせず訪問内容をデイケアスタッフに報告しましょう。
    今後の対応については、管理者と相談しましょう。
    大学教員(精神看護専門看護師)
    相談内容

    介護保険の訪問看護先にひきこもりの中年の息子さんがいる

    70代の男性の糖尿病の服薬管理目的で訪問看護を行っています。
    妻は10年前に他界。訪問看護は1年続けてきましたが、転倒して大腿骨を骨折したことから入院しました。自力歩行が困難になりそうで、日常生活の援助がかなり必要となりそうですが、頑なに自宅退院を望んでいます。

    その理由に、家にはひきこもっている40代の一人息子がおり、その息子が心配であるとのことです。息子さんは無職らしく、父の年金で生活しているようです。
    お父さんとしては、本心は生活がしづらくなるので、どこかの施設に入りたい気持ちもあるけれどお金もかかるし、息子さんが使えるお金が無くなる、家に帰るしかないとのことでした。

    訪問看護師は、息子さんには、週1回の訪問看護中も自宅にいるものの姿を見たことはありません。ケアマネージャーが、お父さんの入院をきっかけに、お父さんの今後のことを話そうとしましたが、「家族のことなのでほっといてほしい」といったとのことです。デイサービスやヘルパーの導入をしていくことになりそうです。

    息子さんにも利用者であるお父さんの日常生活の支援や今後について、関わっていく必要があると思いますが、どのように対応したらいいでしょうか。
    30代 女性
    回答
    ケアマネージャーが、お父さんの日常生活の援助を中心にデイサービスやヘルパー導入などのケアプランを中心に考え、息子さんへの説明もされると思います。
    今後のお父さんのケアへの息子さんの参加(自宅での生活の援助)についての意思やできることの確認をしつつ、息子さん本人への支援についても、息子さんと話し合う機会を持っていくことが大切です。今後息子さんの生活が立ち行かなくなることは想像に難くありません。

    ひきこもっていることへの息子さんの思いや先への考えを確認し、本人の了解もとりながら、保健所の精神保健相談の精神保健福祉士や保健師と情報を共有しながら、息子さん本人が利用できるサービスを紹介していくことは可能でしょう。

    息子さん本人の意向によりますが、障害者総合支援法における地域生活支援センター、就労移行支援などのサービスの利用も可能かと思います。その際は、地域の専門支援相談員の紹介等も行えるでしょう。ただし、どういう場への紹介がいいのかは、ケアマネージャーや訪問看護師等が、アセスメントすることが必要です。
    大学教員(精神看護専門看護師)
    相談内容

    精神障害者の訪問看護の評価

    訪問看護を1年続けていても利用者に大きな変化がありません。何を評価の視点/指標にしていいのか戸惑います。

    例えば、統合失調症の患者さんで、大きな問題行動等もなく、服薬もしています。行動の拡大や就労などのステップアップもなく、すすめても本人が必要ないといい、頑なです。
    週に1回30分の訪問で服薬管理確認、バイタルサインの確認、本人の身体や生活の困りごとの確認をしていますが、特に問題なく経過しています。

    主治医や利用者も訪問の継続については、異議がありません。このまま漫然と訪問看護を続けてもいいのかと思ってしまいます。
    50代 女性
    回答
    週に1回30分の訪問看護で、現状を維持していることが、精神障害を持つ利用者さんにとっては、十分意味があります。
    利用者さんの立場からだと、訪問看護に来られることで、家の中が乱雑だったり、薬の飲み忘れが時々あったとしても、「あさってくるから、あるいは、明日来るから、今日からは、ちゃんとしよう、悪いように言われないようにしよう」と思っています。

    あるいは「今週は順調にいい日々が過ごせたことを報告しよう」と思っている場合が多いです。多少の生活の乱れも、週に1回の訪問日までに調整しようとされる利用者さんが多いです。利用者さんなりに、自分の調整能力を、訪問に合わせて発揮できています。そのため、生活の乱れを防ぐ意味で、週1回の訪問でも大きな意味があります。

    現状生活が維持でき、訪問看護を拒否しない点で、関係性はある程度構築されているのですから、生活上の問題をタイミングよく相談できる関係性を保ち続けてください。
    生活の場の拡大や就労といったステップアップのタイミングを逃さず、移行の後押しができる可能性も含まれています。
    大学教員(精神看護専門看護師)

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